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オンラインセミナー「NBA世界チャンピオンのアスリートトレーナーに聞く、建設現場の安全文化・組織づくり」を開催しました!

オンラインセミナー「NBA世界チャンピオンのアスリートトレーナーに聞く、建設現場の安全文化・組織づくり」を開催しました!

日時:2025.11.25(火)16:00~17:15
場所:オンライン(Zoom)

「建設現場での“安全”や“チームワーク”は、実はスポーツの現場と多くの共通点がある」
――そんな気づきが、今回のオンラインセミナー企画の出発点でした。

NBAチャンピオンチーム「サンアントニオ・スパーズ」でアスレティック・トレーナーとして活躍した PLAY×MOVEのダイス山口氏をゲストにお迎えし、スポーツの現場でのチームビルディングやコミュニケーションのエッセンスをシェアしていただきました。そして、アザス事業セールスマーケティングディレクターの名智伸明氏がモデレーターとなり、山口氏とJGCDigital アザス協業責任者の吉井拓史氏の対談を通して、「スポーツ現場での知見を建設現場の“安全文化”にどう活かせるのか?」について議論を深めました。

本記事では、そのセミナーの内容を凝縮してお届けします。
全編をご覧になりたい方は、記事末尾の セミナーアーカイブ視聴登録からご確認いただけます。

目次

  • 1. 登壇者紹介
  • 2. 日揮の安全の取り組み「IIF」の紹介と、建設現場における課題提起
  • 3. スポーツ業界での課題の乗り越え方と取り組み・心がけ
  • 4. トークセッション:建設現場とスポーツ現場の違いとは?
  • 5. 本日の学びの振り返り――明日から実践できること
  • 6. まとめ

 

1.登壇者紹介

JGCDigital 吉井拓史氏

日揮グローバルのエンジニアとして多数の海外プラント建設工事に従事。計測・制御システムの設計・建設・試運転など幅広い領域を担当し、サウジアラビア、パプアニューギニア、北米での駐在経験を持つ。2021年より新規事業開発を担当し、2024年からアザス事業に参画し、建設現場の安全文化醸成に取り組む。

 

PLAY×MOVE 代表 ダイス山口氏

NBAサンアントニオ・スパーズで7年間アスレティック・トレーナーを務め、2014年にはNBAチャンピオン獲得に貢献。帰国後は東京医科歯科大学(現・東京科学大学)スポーツサイエンスセンターにて研究・教育活動に従事し、小・中学生~トップアスリートまで幅広く指導。スポーツを通じたリーダーシップ教育・チームビルディングに注力し、2022年にPLAY×MOVEを設立。

 

2.日揮の安全の取り組み「IIF」の紹介と、建設現場における課題提起

吉井氏から日揮グループの取り組み事例として、「承認のコミュニケーション」による安全文化醸成プログラム IIF(いいふれあい運動) が紹介されました。IIFは次の3段階の承認を積み重ねることで、安全文化を根付かせる考え方です。

  1. 1.存在承認 …「相手の存在」を認める(挨拶、名前を呼ぶ、視線を合わせる など)
  2. 2.行動承認 …努力や取り組みの姿勢を認める
  3. 3.成果承認 …結果に対して肯定的にフィードバックする

IIFを現場に導入した結果、事故減少などの成果が見られる一方で、「安全文化の定着には時間がかかる」「このコミュニケーションが本当に意味を持つのか?」といった現場で感じる課題が提起されました。

 

3.スポーツ業界での課題の乗り越え方と取り組み・心がけ

ダイス氏は、自信が経験したNBAサンアントニオ・スパーズの承認文化について、IIFとの共通点にも触れながら次のように紹介しました。

  • ・スパーズの評価基準は「持てる力を出し切れたか」。これは、成果や行動よりも存在を重視する承認文化であり、IIFと同じ構造。
  • ・多国籍メンバーが集まるチームでは、練習前に互いの出身国・家族・価値観などを知る時間を設けており、これが互いに支え合う姿勢の土台になっている。

さらに、八村塁選手の中高生向けキャンプでの事例を引き合いに、名コーチとして知られるフィル・ハンディ氏のリーダーシップ哲学の代表的な4つを紹介しました。

  • Purpose:目的を明確にして、行動を起こす
  • Energy:リーダーが出すエネルギーが相手を変える
  • Relationship:日々の相手とのかかわりを大切にする
  • Player Centered:相手が何をしたいか、常に確認する

また、2006年にMVPを受賞し同時にアシスト王にも輝いたNBAフェニックス・サンズのスティーブ・ナッシュ選手が、「1試合で236回のタッチ(ハイタッチ、グータッチ、軽くお尻を叩く の3種類のタッチ)をチームメイトにおこなっていた」という研究事例を紹介し、「タッチは究極の存在承認になる」とその絶大な効果を語りました。

こうした話を受けて吉井氏は、「成果は、日々の小さな行動の積み重ねから生まれる。ハイタッチや声かけといった行動がチーム全体を押し上げていく。成果が出るまでに時間がかかるのは自然なこと」と話し、冒頭の問題提起に対する1つの答えを示しました。

 

4.トークセッション:建設現場とスポーツ現場の違いとは?

ここでモデレーターの名智伸明氏が、参加者に「建設現場とスポーツ現場の違い」についてチャットで意見交換を呼びかけました。
「建設現場には“コーチ”がいない」、「建設現場には“練習”がない」などの声をきっかけに議論が発展し、スポーツの知見をどのように建設現場に応用できるかを深掘りしました。

ダイス氏は、【行動変容の4段階】についても次のように解説しました。
行動変容が起きるまでには次の4つのステップがあり、

  1. 1.無意識×無能 …できないことに気づいていない
  2. 2.有意識×無能 …意識はするが、できない(ここが最も長く苦しい)
  3. 3.有意識×有能 …意識すればできる
  4. 4.無意識×有能 …意識しなくてもできる

特に2段階目の「有意識×無能」状態をどう乗り越えるかが鍵であり、その際には

  • 自分を褒める(自己承認)こと
  • チームからの承認を受けること

が継続の支えになる、と強調しました。

 

5.本日の学びの振り返り――明日から実践できること

最後に、吉井氏は、「建設現場もスポーツ現場も“チームで動く”という共通点がある。成果を出すためには、人と人がつながり、支え合う関係を築くことが重要」とセミナーから得た学びを振り返りました。

また、ダイス氏からは、「建設業は勝ち負けではないが、スポーツと同様に“ゴールが明確”という特徴がある。上手くいかないときこそ、自分を信じる・仲間を信じる力が大切」というメッセージが贈られました。

 

6.まとめ

今回のセミナーでは、スポーツの現場でのチームビルディングやコミュニケーションのエッセンスを、建設現場の安全文化・組織作りにどう活かせるのか?について議論を深めました。今後も、皆さまの現場課題の解決やビジネスのヒントとなるセミナーを開催してまいりますので、是非ご期待ください。

セミナーの全編をご覧になりたい方は、ぜひアーカイブ視聴にご登録ください。
現場の取り組みを一歩進めるヒントがみつかるはずです。

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