CASE STUDY

【特別記事】レンタルのニッケン× JGC Digitalパートナー対談

【特別記事】レンタルのニッケン× JGC Digitalパートナー対談

2025.08.25

レンタルのニッケン× JGC Digitalパートナー対談

~称賛のコミュニケーションアプリ「アザス」で現場の安全文化づくりを支援~


建設機械のレンタルで確かな実績を誇る「レンタルのニッケン」と、称賛のコミュニケーションを通して現場に安全文化を根付かせるアプリ「アザス」を展開するJGC Digital。今年3月に相互に連携して拡販することを目的とした、「アザス」の展開を本格的にスタートしました。両社が協業を行うに至った背景には、単なる業務効率化を超えた「お客様の課題解決に貢献したい」という共通した想いがありました。
今現場で見えている課題、両社が協業を行うに至った経緯、そして両社の強みを掛け合わせ今後はどんな展開を考えているのか――。レンタルのニッケン 執行役員 栄 太郎氏と、JGC Digitalのアザス協業責任者である吉井 拓史氏にお話を聞きました。

 

対談者

  • レンタルのニッケン 執行役員 栄 太郎氏
  • JGC Digital アザス協業責任者 吉井 拓史氏

 

「アザス」を知ったきっかけ

――栄さんが「アザス」を知ったきっかけや、初めて見たときの印象についてお聞かせいただけますか?


レンタルのニッケン 栄 太郎氏

栄:きっかけは約1年前、弊社の営業担当から大手石油会社の「製油所における定修工事で面白いサービスが使われている」と紹介を受けたことです。それがアザスでした。プラント現場では以前から「何か良いコミュニケーションツールはないか?」というご相談を多くいただいており、私自身も探していたところでした。アザスの存在を知り、「これは詳しく話を聞いてみたい」と思い、JGC Digital社に連絡を取りました。

――アザスのどんな点に魅力を感じて下さったのでしょうか。

栄:ポイント付与の仕組みが「全員参加型」になっているところです。例えば、ヒヤリハットは報告した人だけではなくその報告を読んだ人にもポイントが付きますし、体温を登録した人は全員ポイントが付きます。この「全員が参加できる」仕組みは他にはない発想だったので、非常に面白いと感じましたね。プラント分野の現場では、どうしても情報の流れが一方通行になりがちですが、「アザス」であればその課題を解決できるのではないか、という期待感がありました。

――「アザス」というネーミングやデザインについては、どんな印象でしたか。

栄:弊社も自社製品のネーミングは大事にしています。例えば、階段専用の運搬台車に「階段のぼる君」とつけるなど、機能を名前にすることも多いので、すぐに「アザス」というのは“ありがとうございます”から付けた名前だなと分かりました。「ありがとうございます」という挨拶が現場で共通の言語になるのは、非常に良いと感じました。

 

現場で感じていた課題とは?アザスに感じた可能性

――アザスを導入することを決められた背景には、どのような問題意識や課題があったのでしょうか?

栄:課題のひとつは、海外就労者の多い現場でのコミュニケーションの課題です。多国籍の方々が働く現場では、日本語をベースとした従来のコミュニケーションで安全意識を浸透させることは難しい。その点、アザスはイラストを使って直観的に伝えられるので、言葉の壁を超えられると感じました。
もうひとつは、協力会社さんの小さな要望を拾いたいという課題です。たとえば「自動販売機に屋根があれば雨の日に濡れずに済む」といった細かい要望を吸いあげるためのツールとしてアザスを使えるのではないかと感じたこともアザスを導入するきっかけになりました。

吉井:私はトータルで約15年、海外のプラント建設現場で働いていましたが、何千人といる多国籍のスタッフの中には英語のコミュニケーションがとれない人も少なくないため、栄さんがおっしゃったように、「いかに安全文化を浸透させるか」は常に大きな課題でした。安全に関する紙芝居をつくって見せたり、寸劇にしたりすることが多かったのですが、安全に対して理解してもらえるだけでなく、実はそれ自体がコミュニケーションの入り口にもなるんですよね。「あの時の紙芝居面白かったよ」と声をかけてもらい顔見知りになると、こちらも「清掃してくれてありがとう。助かったよ」というような声掛けをするようになり、次第に関係性ができてくるわけです。
これは長年の経験から言えることですが、会話が多い現場は事故が少なく生産性が良いのに対し、殺伐としている現場は事故が起きやすい。そういう面でも、「褒める」をベースにしたコミュニケーションで関係性を築いていくのはとても大切で、アザスの設計に活かされています。

 

現場のDX化支援の取り組みとは?

――新しいサービスを現場に根付かせるのは簡単ではないと思いますが、「アザス」が現場に浸透するために取り組んでいることはありますか。

吉井
JGC Digital 吉井 拓史氏

吉井:「アザス」自体はあくまで“ツール”なので、それを現場に“文化”として根付かせるには、導入担当者の熱量がとても重要だと考えています。ツールを導入して「はい終わり」ではなく、どう活用して職場をより良くしていくかを、現場の皆さんと一緒に考えることが大切です。最初は手間に感じることもありますが、現場に“楽しんで取り組む”雰囲気が出てくると、空気がガラッと変わっていくんですよね。特に、事務スタッフが面白がって「アザス」を運用してくれるような現場では、継続性も成果も出やすい。そういう状態をつくるために、「アザス」自体もあえてキャッチーなデザインやネーミングにしていますし、ユーザーが自分たちでポイントの設定や使い方を工夫できる柔軟な設計にしています。

栄:そうですね、現場ごとに柔軟な対応ができるのも「アザス」の魅力のひとつですね。例えば、景品交換の文化がない現場では、アザスポイントの獲得数を「安全表彰」の対象者の基準にする、といったご提案をすることもあります。

吉井:それは良いアイディアですね。多くの人の前で称賛されたり、表彰されたりするのは年齢を重ねても嬉しいものですからね。

栄:私たちの世代は、基本的に怒られて育ってきましたから、「褒められる」という経験が少ない上に、誰かを褒めることにも慣れていない。だからこそ「アザス」のような仕組みは、我々世代にこそ必要かもしれないと感じています。

吉井:称賛をベースとした「アザス」の仕組みを使うと、自然と「指摘」が「アドバイス」に変わっていきますし、聞く側の立場からしても素直に耳に入りやすくなりますね。

 

「アザス」に対する現場の声は?

――展示会などでのお客様のアザスへの反応はいかがでしたか?

吉井:この1年間で、いくつもの展示会で「アザス」を紹介してきましたが、称賛のコミュニケーションをベースにしている点に興味を持って下さる方が多かった印象です。特にニッケンさん主催の「暑熱対策展示会」では、来場者がほぼ全員、現場に携わっている方々なので、興味を持って真剣に話を聞いて下さり、こちらも勉強になりました。

栄:「暑熱対策展示会」は、当初は同業他社に情報が漏れるのを懸念して、メーカー各社様には声をかけずに当社だけで実施していました。ところが、参加者からの質問が専門的で当社だけでは対応できない場面が出てきたことから、思い切ってメーカーの方々にも参加頂いたという経緯があります。その結果、現場でどんな課題があるのかを私たち自身もしっかり把握できるようになりましたし、展示会後に実施しているお客様アンケートの結果をメーカー各社様と共有することで、現場のリアルな声を製品開発に活かしていただけるようにもなっています。「アザス」についても、アンケートで非常に高い評価をいただき、すでにいくつかの商談に発展しています。

吉井:「暑熱対策展示会」に参加して良かったもう一つの点は、ニッケンさんのスタッフの皆さまとじっくり意見交換ができたことです。アザスについて知っていただくきっかけにもなりましたし、皆さん非常に前向きに受け止めてくださって、「社内のコミュニケーションツールとしても活用できるのでは?」といった声も多くいただきました。中には、「お客様とのコミュニケーションにも活用できそうだ」といったご意見もあり、アザスの可能性を改めて感じる機会になりました。

栄:実際に、九州の営業担当からは「土木工事における技術提案書にアザスを活用できるのではないか」という意見も出ています。協力業者とのコミュニケーション強化策として「アザス」の仕組みを提案書に盛り込めば、公共工事における評価加点につながる可能性がある。もし実際にそれが評価されて採用につながるようなことが起きれば、土木業界全体への展開にも期待が持てます。
すぐに結果が出るものではありませんが、所長だけでなく、現場に近い営業担当一人ひとりに対してもしっかり商品教育を行い、全社的にアザスの価値を伝えていきたいと考えています。

――実際にアザスを導入した現場からは、どんな反響はありましたか?

栄:非常に好意的な声をいただいています。例えば、某石油会社の製油所における定修工事が終わった後、現場の方に「アザス」の使用感を伺ったところ、「コミュニケーションが取れるようになって良かった」と返ってきました。実際に使われた方からそういった声をいただくと、「これは我々が自信を持って推奨できるサービスだ」と確信が持てますね。
今は、「アザス」を導入しているENEOS株式会社某製油所の現場で、アザスポイントをコンビニの共通ポイントサービスで交換できるように大手コンビニエンスストア様にもご協力をお願いしているところです。せっかくアザスを導入していただくわけですから、こうした仕掛けもつくって、協力業者の方々にも「楽しい」「参加したくなる」と思ってもらえるような取り組みにしていければと考えています。

 

両社の強みを掛け合わせた今後の展開は?

――今後の展望を聞かせてください。

吉井:まだアイディア段階ではありますが、例えばニッケンさんが扱っている熱中症対策の飴などの商品と、アザスポイントを連動させるような仕組みも検討できるのではないかと考えています。
また、実際にニッケンさんの営業の方と一緒にお客様のもとを訪問させていただいて感じたのは、頻繁に足を運んで、非常に丁寧に関係性を築いているということです。そうした営業活動の中で、顧客満足度を可視化するツールとしてアザスを活用することで、営業担当の方とお客様との関係づくりにも貢献できるのではないかと考えています。

――顧客満足度を可視化するツールとして使うというアイディアは面白いですね。栄さんはいかがでしょうか。

栄:「弊社が展開している「社内顧客向けアプリ」と「アザス」を連携させるというのは、非常に可能性のあるテーマだと感じています。例えば、レンタル品の返却時にお客様から「対応が丁寧だった」「助かった」といったフィードバックをいただいた際に、それをアザスポイントとして可視化する仕組みがあれば、営業現場でもさらに活用の幅が広がるはずです。
ちょうど社内でも、社内顧客向けアプリに対して新たな付加価値を求めているタイミングですので、アザスとの連携は、まさに新しい提案のひとつになり得ると考えています。 私たちも現場でお客様の声を直接伺う機会が多くありますので、そうしたリアルな意見をもとに、御社と一緒に「次のアザスの使い方」を模索していけたら、非常に面白い展開になるのではないかと期待しています。

吉井:当社としても、幅広い業種のお客様とお付き合いのあるニッケンさんと組むことで「アザス」で出来ることがどんどん拡がっていくと思うので、それはすごく楽しみですね。

栄:今、日本政府が造船に力を入れていく方針を打ち出していますので、造船業も可能性のある分野のひとつだと考えています。アメリカが艦船の修繕を日本の造船所でやるということも言っていますから、アメリカの技術者とのコミュニケーションも今後は課題になってくるでしょうし、東南アジアからの就労者が増加傾向にあることから、現地語が使えるコミュニケーションツールへのニーズも高まってきています。「アザス」がそうした課題解決に一役買うことが出来ればいいなと思います。

吉井:東南アジアの方々って、アザスのような仕組みを本当に楽しんで使ってくださるんですよね。とても陽気で、称賛し合う文化にもなじみがあるというか。今、社内イベントで「アザス」を実際に活用しているのですが、海外の方たちも楽しみながら積極的に取り組んでくれています。アザスの“褒め合う文化”は、人種や国籍を超えて自然に受け入れられるものなんだなと、改めて感じています。
また、新しい機能として、「挨拶大臣」や「気づきの達人」といった、自分の得意なことを称号として表現できるような仕掛けがあると面白いのではと考えています。ニッケンさんでは、ビジネスネームを使って現場で親しみやすく呼び合う文化があると伺っていますので、そうした仕組みとアザスの“称号機能”をどう連動させていけるか、ぜひ一緒に考えていけたらと思っています。

栄:おっしゃる通り、当社は以前からビジネスネーム文化があり、現場では本名ではなくニックネームで呼び合うことが一般的です。場合によっては、お互いの本名を知らないということもあるくらいで、それがかえって親しみやすさや、フラットな関係性を生んでいる面もあります。
現場でもそうかもしれませんが、その人の業務内容に対しての称賛ができたらいいですよね。こういうことを手伝ってくれて助かったとか、こういう提案や技術力で助かったとか、このことはあの人に聞けばいいとか。それがまたコミュニケーションのきっかけになりそうですしね。

――栄さん、吉井さん、本日はありがとうございました。

レンタルのニッケン

CONTACT